留学生活で得たもの 河野明子
私は2006年3月から2007年1月までの11ヶ月間派遣留学生として大連外国語大学に留学しました。前年度までは派遣留学生は中国語専攻枠2人でしたが、私が留学に行く年から中国語専攻枠が4人、中国語専攻以外の枠が1人に変わりました。春に募集があった時はまだ留学についてあまり考えていなかったので応募しませんでした。その後追加募集のことを聞き、この機会を逃したら留学できないかもしれないと思い応募しました。筆記試験、面接を受け最終的に留学するのが決まったのが12月下旬でした。一緒に行く5人はみんな同じサークルだったこともあり、留学前の不安はそれほど大きくなかったです。
大連に来た初日は寮の部屋の汚さに驚き、これからやっていけるだろうかと不安になりましたが、1週間後にはもう慣れていました。また前から大連にいる日本人の方が部屋でインターネットをできるようにしてくれたり、いろいろ手助けしてくれました。
クラス分けテストの結果、最初の半年は中級B班で勉強することになりました。クラスメイトは半年前から来ている人が多く、その人たちと比べて聞き取れないし、しゃべれないのですごくレベルの差を感じました。最初の数ヶ月は、クラスの人に追いつくために必死で勉強しました。その成果がでたのか6月にHSK(漢語水平考試)8級を取得することが出来ました。後期は高級B班で勉強しました。高級班の授業では書面語や四字熟語をたくさん学習しました。閲読の内容もとても難しかったです。
クラスでは韓国人が一番多く、その次に日本人で、あとはロシア人とタイ人が数人いました。韓国人はとても友好的ですぐに仲良くなれました。韓国では高校で日本語か中国語を選択して勉強するためか、中国語の教師になりたいという人が多かったです。タイ人の友達ができました。彼女とは2学期とも同じクラスでした。帰国後もたまに電話で話しています。
中国人の友達もすぐにできました。日本語を勉強している中国人の学生が、勉強相手を探しに来るからです。私の友達はすごく好奇心が旺盛で"日本の女性は結婚後どうして仕事をしないのか"また授業で日本のテレビ番組を観ているらしく"日本人はどうして某女性占い師を信じているのか"等答えに困る質問をされたり、たまに議論になることもありました。日本のことなのにうまく答えることができないことも多く、自分は日本について知らないなと思いました。また中国の人にとって日本といったら富士山らしく富士山に登ったことがあるかと聞かれることがよくありました。
後期に、韓国人の友達の紹介で朝鮮族の友達ができました。彼女は中国語、朝鮮語を話すことができ、今日本語を勉強しています。彼女と話していて気づいたのですが、朝鮮族と中国人(漢民族)は彼女達にとって違うということでした。中国には55の少数民族がいるということは知っていましたが、一つの国の中で独自の風習を守って暮らしている民族というものがとても不思議に感じられました。その友達の家に朝鮮族の研究をしている日本の大学生が来たこともあるという話を聞き、少数民族というものに関心を持つ良いきっかけになりました。
旅行では、夏休みに四川省の九寨溝、黄龍、秋に北京、天津、冬に瀋陽に行きました。九寨溝と黄龍は本当にきれいでお薦めです。
一番心に残っているのは、天津?北京への旅行です。先輩と二人で行きました。中国には5月と10月にゴールデンウィークがあります。この時期は列車の切符を取るのも困難で、朝6時半に駅に行き並んで天津行きの切符を買いました。夕方寝台列車に乗り、天津まで行きました。寝台列車の中で日本に行ったことのあるお姉さんと、日本語の勉強を始めたばかりの学生さんと仲良くなりました。天津の東駅に行く予定でしたが、列車が北駅着でした。するとその学生さんが自分も東駅まで行くからといって、東駅まで連れて行ってくれ、バス停まで探してくれました。天津では日本の友達に会い、遊びました。何ヶ月も会っていなかったのに全く距離を感じずにほんの友達はいいと思いました。
次の日に北京に出発し、北京大学、清華大学、王府井に行きました。自分達だけでバスや地下鉄に乗り、時々人に道を訪ねるなどして目的地に着いた時はすごくうれしかったです。帰りは直接大連に帰れる切符が買えず、まず大連の北に位置する瀋陽に行き、そこから大連に帰ることにしました。瀋陽に着いたのが夜遅くて快速の列車がなく、翌朝大連に到着する列車に乗りました。席がとれなかったので列車と列車の間の部分で荷物の上に座っていました。すると一人の男の人がどこまで行くのかと聞いてきました。少し警戒して「大連」としか答えませんでした。しばらくしてその人がまたやって来て私達のために席を探してくれました。
この旅行では中国の人の優しさを感じました。人との出会いも旅の楽しみだと思いました。
今回の留学を通して、いろんな経験ができました。早く日本に帰りたいと思ったこともありましたが、今はすごくいい思い出です。語学力も上がったし、何より外国人の友達ができたことが一番です。また近いうちに中国に旅行に行きたいと思っています。